ある管理職の一日
タイムマネジメントとは、自分がその日の仕事を最高のパフォーマンスで行うことができるようにするための、段取りだ。
この段取りをどういった段取り術で行なうかは、その個人を取り巻く環境で変わってくるだろうが、基本は、上に書いたことを実現できる方法を実践することだ。
また、P.F.ドラッカー先生が仰っているように、この段取り術を「習慣」にすることが最も大切だと実感している。
どうも日本人は、体力がないせいなのか、ひとつの方法論をじっくりと実践する根気に欠けているように思われる。このため、つい新しい方法論(ライフハックといったカンタン・楽ちん系)が出るとそれに飛びついてしまう傾向があると思う。
ひとつの方法をじっくりと実践し自分のものにするという粘り強さがこのタイムマネジメントには必要だと考えている。
次の説明するのは、私が日々実践しているタイムマネジメントの方法を紹介する。
【はじめに】
当たり前のことだが、仕事を「実行する」というのは、「その日」にしかできないことである。それ以外の日は、「その日」に最高のパフォーマンスを発揮できるための準備(将来)と反省(過去)の期間である。
その(マネジメントサイクルに代表される)準備(Plan)と反省(Check)の時間をおろそかにすると、当日の最高のパフォーマンスは全く期待できないことになる。
このため私は、こういった考えをベースにした効果的なタイムマネジメントの方法論を選択した。それが、「Aタイム」マネジメントである。
この方法論は、仕事の体系的な管理(From Goal To Action)といった考え方を列挙しているだけでなくだけではなく、実行を「習慣」化するために、TaskTimer や、Canopusシステム手帳といったツールと一体化している(三位一体の方法論)ので、タイムマネジメントを「習慣」とする環境が揃っているのだ。
「Aタイム」マネジメントの「Aタイム」とは、1日のうちで自分が一番パフォーマンスを発揮できる時間帯のことで、「この時間帯をうまくコントロールすることで、その日の仕事に最高のパフォーマンスを発揮できる」という考えに基づいている。
もちろんこの考え方は、仕事のみではないことは、当然のことながらお分かりであろうと思う。
【「Aタイム」の仕事術】
私の「Aタイム」は、午前中の3時間(9:00~12:00)だ。
何よりもこの貴重な3時間で、私はその日の仕事に最高のパフォーマンスを発揮できるようにしている。
私は、会社には8:30頃に出社する。それから、メールをチェックし、新しい仕事の依頼などがないか確認行なう。
これは、緊急で重要な仕事が飛び込んできている場合には、仕事の予定を変更・調整する必要があるからだ。
それ以外のメールは、朝一番には調整の対象にはしない。というかそんな暇はないからだ。
朝は基本的には、その日の予定の微調整をすることはあるが、改めて予定を立てることはしない。
仕事の予定を立てることは前の日にやっておくからだ。
これには非常に大きなメリットがある。
ひとつは、朝すぐに仕事に移ることができること。
それから、前日に予定しておくことで、自分の潜在意識をフルに働かせておくことができるからだ。これについては、また別のところで紹介することがあるだろう。
仕事の予定の確認が終わったら、今度は「コンタクト」の時間だ。
これは、このあとに続く「Aタイム」のために、割り込みを極力少なくするために行なっている「習慣」である。
お客様や関連部署からの電話や訪問を見越して、先手を打って予定の設定や仕事の確認をしておくのである。お客様や関連部署も、私がこれを習慣にしていることを知っているので、問題なく対応してくれている。
このようにして、「後顧の憂い」をなくしてしまえば、あとは集中して重要な仕事に取り掛かる準備が整ったことになる。
この「コンタクト」の情報は、実はTaskTimerに登録しておくことができて、いつごろ・誰にコンタクトする必要があるのかを登録しておくことができる。
その情報は、TaskTimerのデイリービューに表示されるので、それを見ながら電話なりメールを発信することになる。非常に便利な機能だ。
「コンタクト」だけでなく、この三位一体のシステムには、習慣とすべきタイムマネジメントの作法がその方法論とツールがシームレスに一体化しているので、無理なく実践できるところがすばらしいと感じている。
私の会社では、9:30から11:30の2時間は「プライムタイム」と言って、重要な仕事を集中的に行なう時間帯ということになっている。
この時間帯は、一般的に1日のうちで一番能率の上がる時間帯だそうで、(確かに)難しい仕事も結構スイスイと捌くことができるように感じる。
私は、この「Aタイム」マネジメントに出会うまでは、多くの人の例に漏れず、重要な仕事はゴゴイチにやっていたし、午後はどうしても割込みが入ることが多いので、定時後にずれ込んでしまうことが多かった。
定時後は顧客からの割込みがないため自分のペースで仕事ができるように思われたが、今から考えるとその能率たるや今の半分にも達しなかったと感じている。
それは、今から考えると当然のことであるが、疲れきった頭で難しい仕事をこなそうと言うことが土台無理な話であった。
このため時間ばかりが過ぎてしまって、ついつい深夜までやってしまうことが多く、どうしても睡眠時間が短くなって、朝はフレックスでといった状態が続いていたように思う。
今から考えると、「悪循環」に陥っていたのだと率直に思う。
さて、この「プライムタイム」の時間帯は、基本的に電話は掛かってこないし、もちろん不意の訪問者もいない。
また重要な会議以外は開催されないので、じっくりと重要な頭を使う難しい仕事に打ち込むことができる。
「Aタイム」を実践するようになって、当然のことではあるが、残業が激減した。
このため、定時後は自分の自由時間として、趣味や自分のレベルアップのための学習時間に当てている。
ちなみに、私の週間スケジュール(ウィークリービュー)を開くと、基本はこの「Aタイム」に行う仕事「のみ」を先手を打って確保してある。(これは、「Aタイム」マネジメントでは、「30%ルール」と呼んでいるやつで、1ヶ月先まで重要な仕事を「Aタイム」に予定として確保することが基本だそうだ。)
だから、この時間帯には、会議や打合せなどのアポイントは入ってこない。
会議は、午後からと言う暗黙のルールが構築されているように思われる。
会社全体で「プライムタイム」を設定してくれているので、わざわざ予定を入れなくても...と考える人もいるが、私は特に毎月2回の月間計画・予定の策定作業を、私にとっての「仕事の棚卸」と「頭の整理」になっているので続けている。
これには、2つの目的がある。
どういうことかと言うと、まずは先にある仕事をこのときに再確認するという作業を通じて、特にロングレンジの重要な仕事の計画をいつまでに実施すれば、「Bタスク」のうちに完了できるかを「測る」ことで、これを習慣的にやっていると、いわゆる「先が見える」ので、精神的に「非常に楽」になる。
2つ目は、棚ざらしになっている案件を、この機会に「計画的に廃棄」することだ。
この重要性は、P.F.ドラッカー先生が「経営者の条件」で強調されているように、「劣後順位の仕事」、つまりやらない仕事を見つけ出し、「計画的に廃棄」することで、生産的でなくなった過去のものを捨てることにある。
これをやっておかないと、ToDoといわれる仕事がどんどん溜まっていって、必要でなくなった仕事に囲まれて身動きできなくなってしまうので、励行すべき作業だ。
P.F.ドラッカー先生の、次のような文面だ。少し引用させていただく。
過去を計画的に廃棄する
集中のための第1の原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。そのためには自らの仕事と部下の仕事を定期的に見直し、「まだ行っていなかったとして、いまこれに手をつけるか」を問うことである。答えが無条件のイエスでないかぎり、やめるか大幅に縮小すべきである。
もはや生産的でなくなった過去のもののために資源を投じてはならない。第1級の資源、特に人の強みという稀少な資源を昨日の活動から引き揚げ、明日の機会に充てなければならない。
いやいや、何度読んでも先生の本は勉強になりますな。
ところで、「できる」経営者は、この「Aタイム」を秘書と一緒になって確実に確保し、午後の予定は、おおむね秘書に任せてしまうそうである。
それほど、朝の3時間を貴重な時間帯として捉えている経営者がいると、どこかの本には書いてあった。
【午後の仕事術】
さて、「プライムタイム」の終了から、昼食の間は、一般的に「プライムタイム」の延長の仕事が多い。本当は、メールの確認などをしたいが、進み始めた仕事はなかなか終了しない。
とは言え、メールチェックや会議の予約チェックは午前中に終えておくことが必要なので、仕事を途中(?)で終えても、なるべくメールチェックなどの時間をとるようにはしている。
おかげで、昼休みがずれることが多くなるが、私の会社はその辺の融通は利くので、あまり気にしていない。
午後は、軽めの仕事を入れることにしている。と言っても、もちろん緊急の仕事や会議などが入らない場合は、午前中の続きの仕事を始める。これが「Bタスクのうちに終える」秘訣になっているのかもしれない。
もちろん、「プライムタイム」ではないので、部下からの報告や、電話などは通常通りになるので、午前中のようにはうまく効率よくは捗らない。
また、この時間帯は計画的に予約された会議や、「Cタスク」と言われる仕事をメインに片付ける時間帯になる。
夕方には、再度重めの仕事を入れることもある。
「Aタイム」マネジメントでは、夕方の時間帯は「Aタイム」に次いで能率の上がる時間帯だそうで、その後は、どんどん能率が落ちていくそうである。
だから、先ほども書いたように「定時後」は、難しい仕事をするには適していないのだそうだ。
緊急の仕事が発生した場合は、当然「プライムタイム」であろうが関係なしに対応する必要があるので、ミーティングや電話での対応、顧客先に駆けつけるなどする。
こんな場合は、重要な仕事も吹っ飛んでしまいそうだが、確率的に言って「1日すべて吹っ飛んでしまうような大きなトラブルはほとんどない」ので、その場合は、夕方の時間帯に重要な仕事をシフトするようにしている。とにかく、空いた時間にでも必ず「重要な仕事」に手をつけておくことが重要なのだ。
《会議のルール》
ここで、会議について少しコメントしておこう。
会議というのは、基本は仕事についての意思決定の場と認識している。情報伝達や情報交換はメールや掲示板などで行なうため、私はその目的のための会議は極力開かないようにしている。
会議を開く時間帯にも注意が必要だ。
午前中は、「プライムタイム」なので、重要な会議・頭を使う会議(たとえば、問題解決・企画・ブレストや、意思決定をする会議など)をメインに入れる。
午後は、可能ならば、連絡会議、調整会議、状況報告会議、などの会議を開催するようにしている。
私が開く会議は、参加者を絞り込んで、決定に関連する人のみを参加者としている。
それから、参加者には事前に議題や資料を送付しておく。これを基に参加者が事前準備をするためだ。
一般に会議が無意味になるのは、この事前準備と言う「一人で行う仕事」が十分に実施されていないからで、これを十分に行なっておくことで、会議はスムーズに進行する。
私の会議は大体、30~60分で終えることにしている。このため、さまざまな少人数の会議を数多く開催するようにしている。参加者のためだ。
P.F.ドラッカー先生は会議について、次のように言っている。
会議は元来、組織の欠陥を補完するためのものである。人は、仕事をするか、会議に出るかである。同時に両方を行うことはできない。
しかし何よりもまず、会議は原則でなく例外にしなければならない。みなが会議をしている組織は何事もなしえない組織である。時間の4分の1以上が会議に費やされているならば、組織構造に欠陥があると見てよい。会議が時間の多くを要求するようになってはならない。会議の過多は、仕事の組み立て方や組織の単位に欠陥があることを示す。
会議と言うのは、何かを生産する場ではないので、会議ばかりしている組織は全く生産性が「ZERO」の組織である。
あくまでも、「自分ひとりで行う仕事」が生産を生むのだ。
そのようにならないように努力しているのだ。
少し脱線させていただくが、プロジェクト管理で書くガントチャートを思い浮かべてほしいが、このガントチャートでは、カネになる仕事である、「タスク=ひとりで行う仕事」のみを書くはずだ。
決して、社内での会議や顧客との会議などはガントチャートには書かない。
つまりは、会議と言うのは「金にならない仕事」で、顧客からはカネをもらえない仕事だからだ。
【1日の仕事の終わりの時間術】
その日の仕事が終わったら、その日1日の仕事の実績をデイリービューに登録する。
わたしの会社では、仕事の管理にはTaskTimerを使用し、日々の仕事の実行には各自手帳やノートを使って行なうが、私はシステム手帳を使って日々の仕事の実行を管理している。
TaskTimerとシステム手帳の分担は、TaskTimerではすべての仕事の情報を管理するのに対して、システム手帳は主に、仕事の計画と1日の仕事の実績管理に使用する。
このため、1日が終わるとその日の仕事の実績をシステム手帳に記載した当日の実績を基にTaskTimerのデイリービューに更新入力を行う。
当然、今日の仕事の中には、予定した時間をオーバーした仕事や、新規や突発で発生した仕事などさまざまな仕事の状況が発生してくる。これを、すべてTaskTimerに登録する。
よく、1日単位で仕事の予定と実績を記入するスケジュール管理ソフトがあるが、私はあまり意味のないことだと感じている。
予定を、1日の仕事をびっしりと100%記載するのはナンセンスだし、はっきり言って実現不可能なことだ。
なぜならば、私のようなホワイトカラーの予定と言うのは、日々その都度仕事が変更になるのが当たり前であるので、予定に合わせて仕事をできる日などは本当に限られているからである。
だからこそ、「Aタイム」マネジメントで言っている「60%ルール」を適用して、予定できない仕事を予定する時間をとっておくという「遊び」のある仕事の管理が必要なのだ。
100%記載すると言う予定の立て方は、いわゆるブルーカラー的発想に立って言われていることなので、そんなスケジューリングをしたら、我々ホワイトカラーは、窒息してしまう。
また、よく予定を立てたら窮屈だと言う人がいるのは、上に書いたような詰め込み式のスケジューリングをしてしまっているからなのではないだろうか。「60%ルール」や、「30%ルール」をぜひ取り入れることを推奨する。仕事が見えるようになり、精神的に非常に楽になる。
「Aタイム」マネジメントによると、我々知識労働に携わる人たちのスケジューリングは、その日に行うべき重要な(「Aタイム」の)仕事「のみ」を管理しておくだけで十分なのだそうだ。前のほうで、「できる」経営者について書いたが、それはまさにこのことである。
私は、1日単位で仕事の予定と実績を記入するよりも、仕事単位の見積時間と実績時間の比較のほうが重要であると考えている。
ホワイトカラーにとって、「予定は未定」なので、仕事を予定したとおりにこなすことよりも、仕事の所要時間の見積精度を上げることのほうが確実に自分の仕事の進め方が成長している証なので、こちらのほうが断然重要であると思っている。
その日気分が乗っていたら、難しい仕事に時間をもっと割いて何が悪い。また、突発的な仕事が発生したら、当然のことながら予定は変更になる。
それがまさしく、人間的な仕事の仕方になっているはずなのだ、予定したとおりに仕事を実行することなどはまさに機械やロボットのやることなのだ!
だから、仕事の管理には、中・長期目標から日々の活動までを視野に入れながら、仕事やプロジェクトをタイムリーかつ柔軟に調整できる機能が必要なのだ。
こういった考え方でタイムマネジメントのシステムが構築されているのは、この「Aタイム」マネジメントをベースにした三位一体のシステム以外にないのが寂しいが、それが現実だ。
TaskTimerに新しい仕事を登録し終えたら、「仕事の平準化」を行なう。
すぐに自分の「一般タスクビュー」を表示して、仕事の調整に入る。「一般タスクビュー」では自分の仕事の負荷状況を見ることができ、仕事がオーバーフロー(1日の負荷が60%を超えている日)している期間がすぐにチェックできるので、早めに部下に仕事を委任したり仕事の処理日を変更したりと言った、「仕事の平準化」をその場で簡単に行なえるので、仕事をスムーズに行うことができるからだ。
これが終わると、今度は次の日の予定を立てる。
実は、これについてはあまりやることがない。と言うのも、通常週単位で、重要な仕事の予定(「Aタイム」に入れる仕事)は調整しているので、ほとんどが今日発生したり、やれなかった仕事をどのように次の日に調整していくかを考えるだけである。
とにかくこれらを厳守しながら、予定を立てると、今日の仕事は終わりになる。
この作業が終わると、仕事のことなどすべて忘れて、自分の自由時間を満喫することが可能になる。なぜなら、明日するべき仕事はすべて予定されているからである。
寝ているときに、突然「そういえば、明日朝一で、お客さんにTELしなきゃ」と言った仕事のことを思い出して、眠れなくなってしまうようなこともない。
《仕事の委任》
新しい仕事を部下などに委任する場合には、必ず部下の「一般タスクビュー」を見ながら早めのタイミングで依頼の説明を「One to One」ミーティングとして予定する。また、委任する仕事については、TaskTimerの「委任テンプレート」を使って、要旨を簡潔にまとめることができる。これをやっておくと、部下の仕事の理解精度が格段に向上する。
もちろん、逆の立場として、上司から仕事の委任を受けるときもそのようにしているし、他部門から仕事が入ってくるときにも、かならずこのようなブリーフィングを受けることを前提にしている。こういったコミュニケーションをおろそかにしていると、チーム内の活性度合いが落ちてしまうので要注意である。
「委任テンプレート」による「One to One」ミーティングは非常に強力な武器で、今までは部下が、目的や用途などを推し計って作業していため、往々にして過剰品質のものを作ってしまうことで無駄な工数をかけていたが、これをやるようになってから、委任する仕事の期待する精度が格段に向上した。また部下も喜んでいる。
《「Aタイム」マネジメントのルール》
さて、このようにして、次の日の予定を計画するときには、「Aタイム」マネジメントの2つのルールを忘れないことだ。
最初は、いわゆる「60%ルール」と言うやつだ。
1日の仕事は、仕事時間の60%しか計画しない。あとの40%は、突発時の作業と、仕事のオーバーを見越すようにすることだ。
この「60%ルール」は、非常にシビアではあるけれど、1日の仕事を仕事時間内に終えることを前提に仕事を計画できるので精神安定剤になる。
次が、当日の予定に「Aタスク」を計画しないと言うやつだ。
これは逆説的に言っているので、重要なタスク(典型的にBタスク)が「Aタスク」にならないうちに片付けろと言うことだ。
「Bタスク」は、得てしてあと回しにされてしまうと言う傾向が、特に日本人には多い(注1)そうであるから、この戒めは非常に貴重だ。
これを遵守していると、従来のように「Aタスク」になってやっつけ仕事で、「期限が仕事の終わり」にするのではなく、「Bタスク」のうちに時間を十分取ることができるので成果として値する仕事をじっくりとできる。
《やっつけ仕事の問題点》
やっつけ仕事の問題点はすでにご存知と思うが、以下に解説しておく。
「Bタスク」というのは、重要な仕事なので、これに時間をかけて仕事することで、成果をあげることができるとともに、スキルの向上など自己の成長を促すことができると言うことが特徴だ。
しかし、これをやっつけ仕事で行なうと、仕事にかける時間が絶対的に少なくなることで、「仕事の質」または、「仕事の量」が犠牲になる。
このため、出来映えがよくないと言うだけであるならまだしも、質が犠牲になった場合は、そのために「AXタスク」(突発の緊急・重要タスク : 顧客からのクレームや、プログラムのバグなど)が発生するので、またまた仕事が増えることになる。
また、やっつけ仕事では仕事を通しての自分のスキルの向上など期待すべくもない。
《ネットワーク環境でのTaskTimerの活用》
実は、今日は仕事の都合で顧客先から直帰したもので、今明日の予定の調整を自宅から行なっている。
実は私の会社にもVPN(Vertual Private Network)が入っており、これを利用して(もちろん会社からの許可をもらって)仕事の予定を立てているのだ。
私は、プロジェクトなどの計画を立てるときには、時々休日に家でじっくりと取り組むことがある。管理職なのでということもあるが、成果を出すためには落ち着いた私の書斎で、TaskTimerを使って、じっくりと計画を練ることが必要だからだ。
VPN経由ではセキュリティを気にすることなく、TaskTimerのフル機能を使って仕事の計画や予定を立てることができるので、会社で行なっているやりかたをそのまま使えるところが嬉しい。
プロジェクトの計画を立てるときやフォローをするときに、家でじっくりと取り組むことについては、また別の機会に紹介しよう。
さて、今日の仕事は終わったので、これからはゆっくりと読書でもすることにしよう。
Fin
(注1) 「簡単なものから」派が多数―日本のTo Doリストユーザー
イタリア、フランスでは「難しいタスクから着手」する人が多いのに対し、日本や英国では「簡単なものから」との回答が多いという。 2008年01月15日 10時23分 更新
「To Doリスト」の使用状況は、国や性別によって異なる―米Microsoftが1月14日、米調査会社Kelton Researchによる調査結果を紹介した。
米国、カナダ、英国、日本など8カ国で実施した調査によると、「To Doリストを1つ以上利用している」との回答が最も多かったのはカナダで、78%に上った。以下、イタリア(77%)、米国(76%)と続き、日本は54%で、8カ国中で最も低かった。リストアップされたタスクのどれにまず着手するかにもお国柄がみられ、「難しいものから」との回答はイタリア(75%)、フランス(67%)、ドイツ(57%)、米国(56%)で高い。一方、「簡単なものから」との回答は、日本(59%)や英国(55%)で高くなっている。
リストアップされたタスクの何パーセントを済ませれば「生産的だった」と感じるかとの質問では、日本が「59%」と最も厳しい一方、イタリアでは41%がこなせれば「生産的」と評価するという。
リストがなくても、頭の中でタスクを管理できるとの回答は男性に多い。米国では男性の20%が「頭で管理できる」としたのに対し、女性では9%。また、タスクのうち「重要なものから手をつける」人は男性85%に対し女性は78%、「最も面白くないものから」は男性で56%に対し、女性は46%との結果も出ている。
《参考》 30%ルールと60%ルールについて
知識労働に携わる人たちというのは、日々予期しない仕事に囲まれて仕事をしているといっても過言ではないほど、突発的に発生する仕事に追われているようです。
このため、知識労働に携わる人たちは、計画的に仕事をすることを放棄しがちです。
しかし、私達(およびグループ)が、世界規模でマネジャーの仕事の実態を調査した結果は以下のとおりです。
1ヶ月というタイムスパンを取って仕事の実態を計測してみると、1ヶ月全体の仕事時間に占める予測不可能な仕事は、仕事全体の50~70%を占めていることがわかりました。
これは、逆から見ると、30~50%の時間は計画的に使うことができるということを示しています。
また、1日というタイムスパンを取って計測してみると、1日の仕事時間に占める予測不可能な仕事は、仕事全体の20~25%を占めていることもわかりました。
これは、1日の仕事時間のうち75~80%もの時間を、計画的な仕事に割り当てることができることを意味しています。
つまり、多くの知識労働に携わる人たちは、この予測不可能な仕事というものの量を過大に考えすぎることで、これらの仕事に振り回されてしまっているのです。
また、計画を立てることを放棄することで、目の前にある仕事を優先的に片付けることになり、大事な仕事(多くは、納期が先のため、目の前にはありません)は、先送りされてしまっています。
この調査結果を元に、私達は次のような仕事のスケジューリング方法を推奨しています。
1. 月間の計画や予定を立てるときは、仕事時間の30%を重要な仕事のために時間を予定してください。 ⇒ いわゆる、30%ルールです。
2. 1日の予定を立てるときは、仕事時間の60%を限度に時間を予定してください。
⇒ いわゆる、60%ルールです。
こういった余裕のある仕事のスケジューリングを行うことで、突発的に発生する仕事を吸収できる柔軟な仕事の計画を立てることができます。